新国立競技場問題の簡単なまとめ。

さて、新国立競技場問題。

いったい何がおこっているの!?というのがわからない!
という人のために、時系列で整理してみました。これであなたも新国立競技場問題のエキスパートだwww

(1)国立競技場を修繕するか、建て替えるか。
オリンピックにふさわしいメインスタジアムを!ということで、老朽化の問題が指摘されていた国立競技場をリニューアルしようということに。
この時点では、まっとうに「修繕」か「建て替え」かを議論していたようです。
事前評価では、「修繕」にかかるコストは770億でした。
過去、高すぎると批判されたロンドンオリンピックのメインスタジアムの建設費は約800億円。
それと同じぐらいだから高い!というのが当時の反応でした。

久米設計による改修案 2011.3>
http://2020-tokyo.sakura.ne.jp/_src/sc803/89FC8FC92B28DB88Bv95C48AT97vHi.pdf

(2)ザハデザインでオリンピック招致に成功!
建て替えに方針が決まると、次はコンペです。
オリンピック招致のため、世界的な建築家を!ということで、安藤忠雄氏の主導の元でコンペを実施。
2012年の11月。安藤忠雄氏の強烈なプッシュもあり、コンペで勝利したのは、ザハ・ハディド
近未来的なデザインが評価されました。
デカすぎる、とか景観にそぐわないなどの異論もありましたが、とにもかくにもこのデザインで無事、オリンピック招致に成功します。

ここで問題となったのがコンペの内容。これは単なる「デザインコンクール」です。
建築可能性などはあまり考慮されていない状態で、この時点では建築費用がまったく読めていなかったのです。

おそらく、オリンピックのメインスタジアム予算である、史上例をみない「1300億」という大金をあてにしていたのでしょう。
前述の、ロンドンメインスタジアムを余裕で超える莫大な金の力で、何でも出来るぜ!という目算です。
この金額は、立候補資料に明記されています。

<東京都のオリンピック立候補資料 2013.1>
http://tokyo2020.jp/jp/plan/candidature/

資料1の57Pです。なんとも贅沢。

(4)びっくり3000億!予算大幅超過で関係者真っ青!
しかし、というかやはりというか。
流麗なキールアーチを持つザハデザインの最大の課題はコストでした。
予算委員会で、下村大臣が「3000億かかる」と仰天発言。
ニュースに取り上げられて、ものすごい反論が巻き起こります。
この時点で取り壊し工事がペンディング。長き冬の時代到来です。。。

<日経記事 2013.10>
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2303E_T21C13A0CR8000/

(5)計画見直し、まさかの半額プランが提示される!
さあ、ここからがミラクルです。
コスト問題で揺れる新国立競技場に、久々のカウンターアクションがあったのがこちら。
2014年5月、日建設計さんによる「縮小計画」が発表されます。
テクニックをこれでもか、と入れ込んだ縮小プランで、建設費が1625億円と発表されました。

有識者会議資料 2014.05>
http://www.jpnsport.go.jp/newstadium/tabid/411/Default.aspx

あれ・・・1625億円なら、当初予算とそんなに変わらないじゃん。
という印象操作を見事に成功させたこの案ですが、実際にはいろいろ課題がありました。例えば、

1.消費税が含まれていない
2.屋根が耐火性ゼロのビニールシート

です。設計はしてみたけど受注はちょっと・・・
そんな案でなんとかその場を乗り切りますが、当然膨大な維持費問題についてはそのまま。

(6)追求は続く・・・でたらめな収益資料
開閉式屋根・可動式シートという、とかく維持費がかかる構造で計画されてしまった新国立競技場ですが、これを「黒字運営します!」という収益計画がこちら。
35億も収益あがるわけないじゃないかと。プロスポーツを招致しているわけでもないのにVIPシートをガンガン販売するという無謀プランがまかり通っていました。
初期コストを仮に1625億に抑えたって、赤字垂れ流しじゃ東京都の負担はどうなるんだ!と批判が止まりません。

http://www.jpnsport.go.jp/newstadium/Portals/0/shushimikomi/20140820_shushimikomi.pdf

(7)そして、1625億計画の破たんが明らかに。
そしていよいよ2015年。無事に竣工するにはもう時間がないという状況になって、いよいよ見積もり。
大成建設と竹中の出した見積もりの合計は、結局3000億! 2500億に値切ると言ってますが、これは単にそう発言しているだけ。
え?と思いますよね・・・。1625億円というのはなんだったんだと。

<読売新聞ニュース 2015.06>
http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2020/20150604-OYT1T50160.html

これは、建築家の森山先生含め、再三指摘されていることですが、キールアーチと可動式屋根にとにかくお金がかかると。基本設計に無理があるということだそう。


時系列にまとめると大体こんな感じですかねー。
実は、今、舛添さんが突っぱねている500億円なんて焼け石に水なんです。根本的な部分でボタンを掛け違ってしまっているというのが実情です。

どうでしょうか。大体こんなところかなと・・・
さあ、どうなるか目が離せませんね!