新国立競技場の無駄づかいを比較してみた。

さて、相変わらずグダグダの新国立競技場です。

新国立建設、ゴーサインなるか JSC、あす有識者会議 最後の議論の場(産経新聞) - Yahoo!ニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150706-00000057-san-soci

審査委員長だった安藤忠雄氏が逃亡wということで、なんの大義があるのか・・・という気もしますがそれは置いといて。

さて、新国立競技場がこんなに世間を騒がせているのは「無駄づかい」だからです。
当時、あれだけ「高すぎる!」と騒がれたロンドンオリンピックの競技場建設は800億円。
世界の競技場建設から見ても空前のハイプライスになってしまった原因のほとんどは、流麗なキールアーチにあるというのですから、批判がおきないほうが不思議ですよね。

ただ、実際に他の事例と比較してどのぐらいの無駄づかいと言えるのでしょうか。
ここで、公共投資の失敗事例として世間を騒がせたいくつかの事例から、金額を拾ってみましょう。

私のしごと館! −581億円− ■

残念すぎる「私のしごと館」の衝撃度 “壮絶な無駄遣い”に京都府知事も絶句 - SankeiBiz(サンケイビズ)
http://www.sankeibiz.jp/econome/news/131125/ecc1311251126000-n1.htm

ファーストバッターは私のしごと館です。投じたお金よりも何よりも、「使い道がない」というところがこのプロジェクトの最大のダメポイント。
この施設、2010年に施設と土地を一般入札で売却しようと試みてるんですよね。せめてフツーのオフィスビルみたいな形で建てたのなら、まだ使い道もあったのに。当然ながら、こんな建物を購入する酔狂な会社さんは現れず、現在は京都府がなんとか活用しようと引き取り。

「特殊な形状」は融通が利かない、ということをまざまざと実感させてくれる事例ですね。

このプロジェクトを進めたのは厚生労働省所管の独立行政法人雇用・能力開発機構です。管轄省庁は違えど、独立行政法人という意味ではJSCと被りますねー。独立行政法人は、潜在的に無駄づかいを許容するマネジメント課題を抱えていると言えそうです。

■大阪ワールドトレードセンター −1,193億円− ■
WTC(大阪ワールドトレードセンタービル)計画 - 大阪市ホームページより
http://www.city.osaka.lg.jp/shiseikaikakushitsu/page/0000035835.html

二番手は大阪のワールドトレードセンター。初期の計画では520億円という計画でしたが、結局1,193億円にも膨らみまさに巨額の無駄づかい。結局大阪府が85億円で購入したというオチです。
費用対効果、という言葉の重要性をこれほどまでに体感させてくれる事例もありません。その施設の利用目的、収益、など、その背丈にあった投資が必要なんだという教訓を残しました。

しかもこの建物。ボロ設計でこれから耐震工事まで必要ということになっています。このどうしようもない事態に、購入費の返還を求める住民訴訟まで起こされる始末。

新国立競技場だって、そういう訴訟問題につながるリスクをはらんでいるのではと思います。

八ッ場ダム −4,600億円− ■

計画63年、4600億円投じ…八ッ場ダムで起工式
http://5.tvasahi.jp/000044026?a=news&b=nss

暗黒時代とも言われた民主党政権下で、公共事業見直しの象徴的事例として挙げられたので知名度は抜群ですね。紆余曲折を経て、現在は再度建設に向けて動き出しています(@o@;

1949年に立案された時は、利根川流域の水害対策というのがメインの目的でした。その後、水質の問題で止まり、それが改善したら住民の反対で止まり、1986年時点での総事業費計画は2,100億円。さらにいろいろドラマがあって発電ダムへと計画変更して今の金額に至ります。

発電能力は年間で4100万キロワット/時とのこと。仮に1キロワット/時を2円ちょいで計算すると、年間1億円ぐらい。一般家庭1万1千世帯分に相当、ということなので、例えば1世帯5,000円で計算しても6億円ぐらい。結構……儲からないものですね。建設にかかるエネルギー総量とでは、どう考えてもマイナスになりそうな。

巨大な構造物というのは、とかく周囲に与える影響は甚大。
だからこそ、しっかりとした意思とビジョンがないと迷走しちゃうんですね。そもそも、「何が目的なのか」という、目的意識の重要性については、新国立競技場も学ぶ必要があるでしょう。

■まとめ!■
さて、以上の結果を簡単にグラフにしてみました。

どうでしょう……こんな感じです。
新国立競技場の無駄づかい金額の大きさが体感できるんじゃないでしょうか。

新国立競技場はまだ過去のプロジェクトではありません。
今、まさにお金を使おうとしている段階。上手に節約すれば無駄づかいも減ると思います。
借金をこれ以上増やさないために、関係者には節約術を駆使してもらいたいものですねー